タイ古式マッサージについて

タイ古式マッサージについて

タイ古式マッサージ(通称: Nuat phaen boran、タイ語: นวดแผนไทย)は、タイの伝統的なマッサージの一形態であり、指圧だけでなく四肢を曲げ伸ばすストレッチも含まれています。”古式”とはついていますが、一部では西洋近代医学の要素も取り入れられ、宮廷で伝承されたものにはストレッチの技法は含まれていません。
「Nuat phaen boran」を正確に翻訳すると「古式マッサージ」または「伝統的なマッサージ」ですが、一般的には「タイマッサージ」、「タイの古典的なマッサージ」、「タイの整体」、「受動的ヨーガ」などとも呼ばれています。
もともとはタイ式医療の一環であり、長い歴史を有する伝統医療や宮廷医療として発展してきました。1990年代にはスパでの健康や美容の手段としても広く行われるようになりました。1980年頃以降、タイ政府の支援を受けて復興・構築され、タイの無形文化遺産として位置づけられ、観光文化の一部と見なされています。近年では、タイ国外でも健康法やリラクセーションとして愛されており、その普及が進んでいます。

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タイ古式マッサージ 解説

タイ古式マッサージはもともとタイ伝統医療の一環でしたが、そのルーツは約2500年前にさかのぼります。仏教医学やアーユルヴェーダの影響を受け、伝統的な体液理論を特徴としています。このマッサージは指圧だけでなく、ヨーガのような体位を要求されることが特徴で、シャーマニズムやアニミズムとも深く関わります。元々はボーンナイフや聖水、薬草学などを組み合わせた古式総合医学として認識されていましたが、現在では主にマッサージ手技が強調されています。

マッサージの施術法は約2500年前にブッダの主治医によってタイに導入され、仏教の伝来とともに寺院で発展しました。宮廷でも医療として行われ、アユタヤ朝時代には宮廷で治療法として用いられたことが文献に記録されています。しかし、1915年にタイの伝統医療が禁止され、一時期は行われなくなりました。1970年代には世界保健機関(WHO)の影響で伝統医療復興が進み、タイ政府が1980年代から始まった「タイ・マッサージ復興プロジェクト」や1990年の「タイ式医療の制度化」によって再び医療の一部として復活しました。

外国からの学習者も増加し、1970年代後半から1980年代前半にかけてタイ古式マッサージに注目が集まりました。政府の再編成により、タイ古式マッサージは「タイ式医療」の一分野として体系化され、医療や文化としての価値を高め、経済的価値も向上しました。スパの普及により、タイ古式マッサージは観光の中核的な資源として位置づけられ、観光体験としても人気を博しています。

マッサージのスタイルは主に「宮廷式」と「民間式」、「南部式スタイル」と「北部式スタイル」に分けられます。宮廷式は指圧を主体とし、民間式はストレッチを多用する傾向があります。南部式は指圧が強調され、北部式はストレッチが多いとされています。しかし、一般的なイメージがストレッチを含むものであるため、実際にはマッサージの近代化に伴って後年になってストレッチの技法が付け加えられたと考えられています。

現在、タイ古式マッサージは被施術者が着替えた後、マットレスの上で横たわり、施術者が手や前腕を使ってリズミカルな圧力をかけるスタイルが一般的です。施術は体の「SEN」(エネルギーライン)に従い、標準的な手順とリズムがあります。通常、オイルは使用せず、時折ハーブの包帯が暖かさと静けさを提供するために使われます。施術時間は通常2時間以上で、手足の引っ張りや指関節のほぐし、背中の踏みつけなどが含まれます。大きな集団での施術も行われ、10人以上の施術者が一斉に動作することもあります。

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タイ古式マッサージの広がり

タイ古式マッサージは、タイのスパ産業の主要な要素となっています。2006年時点で、タイ保健省が認定するセラピストは約4万人であり、その中でスパ部門のセラピストとして認定されているのは約1万人です。また、タイ古式マッサージの資格取得者や経験者は約2万人程度いると言われています。このマッサージはタイ国外でも非常に人気があり、広く受け入れられています。

タイ国内ではタイ古式マッサージの学校が存在し、国内外の生徒が学んでいます。特に有名な学校の一つが、タイ伝統医療の象徴である仏教寺院ワット・ポーに深いつながりを持つワット・ポー伝統医学校です。1957年に設立され、近年ではワット・ポー伝統医学校の生徒の8割は外国人となっています。

マッサージの学校には、タイの教育省から認可されている学校もあれば、認可を受けていない学校もありますが、口コミやインターネットでの評判が高まり、生徒を引き寄せる学校も存在します。また、外国でタイ古式マッサージを学び帰国後に学校を開くケースも見られ、その中にはオリジナルの教科書を出版する者もいます。例えば、アメリカ人のアンソニー・ジェームスやドイツ人のハラルド・ブルスは、それぞれ組織を立ち上げて教育プログラムの開発を行っています。外国人が組織する学校やプログラムでは、マッサージだけでなく他の健康法も学ぶことが一般的です。

日本でもタイ古式マッサージの人気が高まり、施術を受けられるサロンや学べる教室が増加しています。また、日本とタイの関係では、2007年に発効した経済連携協定(EPA)において、タイ人介護福祉士やスパ・セラピストの受け入れが協議され、協議が続けられています。

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タイ古式マッサージ 脚注

高頻度で行われているセラピストの認定に関しては、2006年の時点でタイ保健省の統計に基づいており、その統計によればセラピストの総数は約4万人とされている。スパ部門のセラピストはその中で約1万人に認定されており、これに加えてタイ古式マッサージの資格取得者や経験者は2万人ほどと推定されている[2]。
タイ古式マッサージの学習において、外国人に認知度が高い学校として知られるワット・ポー伝統医学校は、1957年に設立され、その多国籍な生徒構成が特徴的である。特に1970年代後半から1980年代前半にかけて外国人の学習が始まり、近年では同校の生徒の8割は外国人で構成されている[3]。

外国でタイ古式マッサージを学び帰国後に独自の学校を開設した事例としては、アメリカ人のアンソニー・ジェームスやドイツ人のハラルド・ブルスが挙げられる。アンソニー・ジェームスはワット・ポー伝統医学校での学習後、1984年にITTA (the International Thai Therapist Association) を組織し、教育プログラムの開発を行っている。一方、ハラルド・ブルスは「サンシャイン・ネットワーク(The Sunshine Network)」という組織を設立し、タイ古式マッサージを含む健康法の普及に努めている[3]。

タイ古式マッサージは国際的にも広く認知され、日本でも施術を受けられるサロンや学べる教室が増加している。日本とタイの経済連携協定(EPA)においては、2007年に受け入れ分野としてタイ人介護福祉士やスパ・セラピストが協議され、その後も関連協議が続いている[6]。

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タイ古式マッサージに関する参考文献

シーヴァコーマラバット, ジャヴィカ・クマール・バッチャ(Jivaka Kumar Baccha)による伝統の起源に関する情報は、『Traditional Thai Medicine: Buddhism, Animism, Yoga, Ayurveda』(著者: Nephyr Jacobsen、出版年: 2008)に詳細に掲載されています。

タイ古式マッサージが宮廷で行われた歴史については、アユタヤ朝時代の文献「ナラーイ王の薬方」や『Traditional Thai Medicine: Buddhism, Animism, Yoga, Ayurveda』(著者: Nephyr Jacobsen、出版年: 2008)などが参考になります。

タイ政府による伝統医療復興運動や「タイ・マッサージ復興プロジェクト」に関する情報は、『Thai Massage & Thai Healing Arts: Practice, Culture and Spirituality』(著者: Bob Haddad、出版年: 2013)に詳しくまとめられています。

タイ古式マッサージの国際的な普及と外国での学習については、『The Complete Guide to Traditional Thai Massage: The Thai Way of Healing Body and Mind』(著者: Maria Mercati、出版年: 2001)が豊富な情報を提供しています。

タイ古式マッサージがスパ産業の中心となっている現状に関しては、『The Business of Massage Therapy: Building a Successful Career』(著者: Jessica Abegg、出版年: 2018)などが参考になります。

これらの参考文献は、タイ古式マッサージに関する歴史、文化、現代の状況について幅広く情報を提供しています。

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